あたしと綾乃は慌てて起き上がって顔を見合わせる。


これって告白?

あたし達は無言のまま目で合図して頷き、まだ揺れているカーテンのかかった教室の方へ視線を送った。


ここは女子高だ。

もちろん女の子同士の告白っていうのもあるかもしれない。

だけど……それよりも可能性が高いのは……。


あたし達はそろりそろりと体を動かして、窓からそっと中を覗き込んだ。


あたし達の位置からは告白している女の子の顔しか見えなかった。

名前も顔も知らない子だ。

大人っぽい感じだから3年生かもしれない。

真っ赤な顔して、今にも泣き出しそう。

その表情から一大決心をして告白したのだということが伺えた。


そして、あたし達に背を向けた状態で告白を受けていた人物が声を出した。


「気持ちはうれしいけど……」


声を聞いた瞬間、あたしの心臓はドキンと飛び跳ねた。

あたしにはその声に聞き覚えがあったから。


「僕にはどうしてあげることもできない」


いつもよりずっとトーンが低くて優しいけど……。

この声は……。

この声は……。