「ぶはっ……! ちょっ……お前、何言って……」


幸樹さんの言葉に慌てた大輔君がジュースを吹き出した。

あたしは傍にあったティッシュを慌てて差し出す。


「サンキュ」


大輔君の顔は真っ赤だった。


「お前は、地元に残してきた元カノが忘れらんないんだよなぁー?」


「も。オレの話はいいって」


「ハイハイ」


幸樹さんは肩をすくませて笑った。

大輔君に打ち切られてせいでこの話題はこれで終わってしまった。


そして、一瞬の沈黙のあと

「――あ。……あたし、もう行かなきゃ」

部屋の時計を見ながら恭子さんが言った。


「んじゃ、オレもそろそろ行くか」


幸樹さんはそう言うと、タバコの火をもみ消して、腰を上げた。