目の前には大きな手があって、半ば反射的にそれに掴まると、ぐいっと一気に体を持ち上げられた。 持ち上げられている時間が、何故かとてもスローに感じられた。 よく、車にはねられる瞬間は時間がコマ流しのように流れる、と聞く。 今もきっとそんな感じで時間が流れているんじゃないだろうか。 だって、つないだ手の先には、あの、司書さん。 ああ、 車にはねられるよりも衝撃がでかいぞ、これは。