月の心~それぞれの心

「ねぇねぇ、お月さま」

お月さまは答えません

「ねぇ~、お月さま」

語りかけてくるのは
小さな人間の女の子でした

何度も…何度も
女の子は語りかけます
けれどお月さまは答えません

悲しい思いは
もう嫌だったのです


しかし女の子は
毎晩やって来ました
そして毎日の出来事を
一人で話して
帰ってゆきます


ある晩…
お月さまは
どうしても気になって
女の子に話しかけました

『ねぇ、貴方はどうして私に話しかけるの?』

すると女の子は
ニッコリ笑って

「だって、お月さま…寂しそうだったから」

と言ったのです

『寂しそう?なぜ、そう思ったの?』

お月さまは心を見抜かれ
驚いたように聞きました

「あのね、お月さまが一人ぼっちだったから」

女の子はそう言った後

「だからね、私…お月さまとお友達になりたい!」


お月さまは悩みました

ウサギとの思い出
キリンとの思い出

心に溢れてくる思い出に
お月さまは苦しくなって
また涙を流しました

「どうして泣いてるの?」

女の子の
優しい声に促され
お月さまは今までの
大切な思い出の全てを
話し始めました