僕達はある日突然
お月さまの涙から産まれた

名前のなかった僕達に
お月さまは名前をくれた

『海月』

僕達は海に浮かぶ
お月さまの子供


ふわふわ…
ゆらゆら…

毎日いろんな事をした

僕達はお月さまの知らない
海の底を探険したり
海に住む魚達を
じっくり観察したり
時には一緒に泳いだり


僕達はそれを
みんなお月さまに
教えてあげたかった

僕達を産んでくれた
遠いお空のお月さまに
海の中のいろんな事を
教えてあげたかったんだ

けれど…

僕達には言葉がなかった

何かを伝えたくても
話す事が出来なかった

見てきたものは
いっぱいあるのに
伝えたい事も
いっぱいあるのに

お月さまには
何一つ届けられなかった

それでもお月さまは
優しく…温かく…
僕達を見守ってくれる

ごめんね、お月さま…
でもいつか…
いつかきっと
お話できるようになるから
いっぱい努力するから
その時が来るまで

いつまでもかわらない
優しくお月さまでいてね


お月さま
僕達を産んでくれて
ありがとう

今までありがとう…
そしてこれから先も


ありがとう…