「サクラ!」


「あ……」



声をかけられて振り返ると和人がいてビックリする私。



「早くない? 会社は?」


「やることやったら帰れって。サクラも妊娠中だから」



そう言って私の手から荷物を取り上げて持ってくれた。



「雪も降りそうだし、みんなも早く帰るって……」




言ってるそばから、曇った空からは白い結晶が落ちてくる。



二人で空を見上げた。



きっと今、私たちは同じことを思い出している。



雪を毎年見るたびに思い出す大切な家族のことを。