チューリップで彩られた道と水路の迷路を通って


ビオラとチューリップのストライプガーデンの前に置いてあるベンチに二人で座った。




「すごいね……スノーのことを覚えてくれていた人がいたんだね」


「うん。俺たち以外の人の記憶に残ってるってなんか嬉しい」



スノードームを青い空にかざして目を霞めて見つめた。



和人のお母さんの言うとおりだね。忘れられるより覚えてもらっていたことのほうが私はすごく嬉しい……



「あのおばさんは……スノーがいたから出会えたんだよね」



もちろん和人とも。その延長を行けば、サキちゃんも健太くんも和人の両親だって



スノーがいなかったら出会えてなかったんだ。





スノーがつないでくれた出会いの輪。




「猫を飼うことって人生の視野を広げられるものなんだね」


「また飼いたくなった?」


「……うん。今はまだ勇気が出ないけど、いつか来るお別れを覚悟して飼い主として責任を持てる気持ちになったら……スノーにしてあげたかったことをしたいな」



やっぱり猫は大好きだもん。


いつかくる別れは人間にだってあるもので……恐がっていたら誰とも付き合えない。