スノーのいないマンションに着いて……
二人でたくさん泣いた。
この部屋には
スノーはどこにもいない。
ベッドの上にも
ソファーの上にも
私のあげた座布団の上にも
「スノーが……死んだらどうしよう……」
「……サクラ、明日は仕事を休むから病院に行こう。先生と話して、もし限られた時間しか残ってないなら連れて帰ろう?」
「なんで……そんなこと言うのよぉ……縁起でもないこと言わないでよ……」
流れる涙は初めての涙
大切なものを失う恐怖
ギュッと抱き締められた和人の腕の中で、声をあげて泣いた。
スノーのお茶碗に残されたままのご飯だけが
寂しく見えた。


