目的地に近づくにつれて車が多くなってきた。
「渋滞してるかなぁ。駐車場、空いてるといいね」
「大丈夫だよ。車の中から見るし」
「え?」
少し高台の場所まで車を走らせて夕方6時になった途端……
下の通りのイルミネーションが点灯された。
「わぁ……すごい! 綺麗だね!」
ここからならイルミネーション全体を見渡せる。
星とサンタとツリーが空を舞っていて、私たちはその上からイルミネーションを見渡せて
私たちが空にいるみたい。
「和人は来たことあるの?」
「ないよ。初めて」
初めてで、こんな場所を知ってるわけないじゃん。まるで花火大会の時みたいに人が少ない場所をリサーチしてくれたみたい。
「まさか……こんな遠いとこまで下見に来たの?」
「うん。だって今日は記念日だから」
――記念日?
シートベルトを外して、CDの音量を小さくする和人。
私がポカンとしていると左手を握られた。


