「……クシュッ!」



何時間、玄関に座ったままなんだろう……



リビングに和人はいるのに怖くて行けない。



もし別れるなんて言われたら……



でもこのまま帰るなんて嫌だ。



どうすることもできなくてただ泣いていたら廊下の扉が開く。




「サクラ、風邪ひくよ……」



座り込んだままの私は温かな腕に包み込まれた。




よかった……。
帰れって言われなかった。



冷たくなった手を和人の背中にまわしてギュッと強くしがみついた。