さっ、さすがにこれはダメだよ。
いくらはぐれないようにって思ってくれていても、和人以外はやだ……。
つながれた手を離そうとした瞬間……。
「キャッ!」
空いていた左手が、すごい勢いで引かれる。
ビックリして振り向くと。
「ごめん……。少しでいいから、サクラと話させて」
「か……和人……?」
息を切らして、現れた和人。最悪な状況で、会ってしまって固まってしまう私。半分パニック状態。
「……もう関係ねーじゃん」
リョウくんは和人を見るなり、冷めた声で言い放つと私の右手をグイッと引いた。
「10分だけ……今日で最後にするから」
最後って……? どういう意味……?
和人に握られた左手。思わずギュッと握り返してしまった。


