いつ言われるんだろ? 緊張して顔がひきつる。
「どうする? 人が少ないとこから花火見る?」
「え、いや……」
そこで言われちゃう? ていうか、そんな場所で和人と鉢合わせしたらやばい。
「人混み嫌いじゃない!! 会場から見よう!!」
ブンブンと顔をふって思いっきり拒否。リョウくんは笑って、会場までゆっくり私に歩幅を合わせて歩いてくれた。
最後の大きな花火大会だから、人の数が半端じゃない。街が人で溢れ返っている。
信号も渡れない状況。
「やっぱ会場に向かうの無理じゃね?」
「うん。適当にどこか座ろうか」
会場に行くのは諦めて、近くの公園に向かう途中で、また人混みの流れに入ってしまった。
自然とリョウくんの手が私の右手に伸びてきて、一瞬ドキッとしたのも束の間。
さりげなく手をつながれた。


