どうしよう……。
話したいことはたくさんあるのに。
リョウくんもこっちに向かってるって……。
リョウくんと一緒にいるところを和人に見られるのは嫌だ。誤解されたくない。
「和人……私、行くね」
本当は行きたくない。
だけど。
ガードレールから立ち上がった瞬間、腕を強く掴まれる久々のあの感覚。触れられただけで、涙がまた溢れる。
「サクラ、少しでいいから話がしたい」
悲しそうな目で見つめられて胸が痛かった。
私も話がしたいよ。でも、今は……。
「ごめん。時間がないの」
話してる時にリョウくんがここまで来たら……。そう考えたらこう言うしかなかった。
「……そっか」
「……和人、ひとつ聞いていい？」
「何？」
「和人の番号……変わってない？」
ドキドキしながら聞いた。私は番号を変えて、和人を傷つけているのに……。
和人には変えていてほしくないとか思ってるなんて、かなりワガママ。
