「ミーは何時頃、花火大会に行く?」
「私、ちょっと用事があるから少し遅れて行くかも……」
「そっか」
相変わらず、バイトあがりはリョウくんの自転車で送ってもらう日々。
本当にあの時の告白は、なかったように、普通に接してくれてる。
それに甘えて、私も誘われるまま……ずるい女。
「俺、場所取り頼まれて早く行かないといけねーんだ。会場に着いたら電話しろよ」
「うん……」
用事なんて本当はないんだ。勝手に行きたい場所があるの。
“人が少ないところから花火が見れる場所を探しておくね”
和人が言ってくれたあの言葉。忘れられなくて……私なりに探してみたんだ。
和人だったら、どこに私を連れて行ってくれたかなって。
未練がましいけど、その場所で花火を見て。
和人への気持ちを吹っ切ろう。


