「……美山って、理解力ないよな?」

「は?」

「俺は昨日のことは、聞かなかったことにしろって言ってんだよ! 意識してんじゃねーよ、バーカ!」


バカって……!


「意識するなってほうが無理でしょ!?」

「美山は自分のことで、いっぱいいっぱいなのに。余計なことで悩ませて、ごめん」

「え?」

「頼むからさ……俺のこと避けたりするのだけはやめてくれ。下心はないって誓うから」


ため息をつきながら自転車に乗るリョウくん。


余計なことって……。どんな気持ちで言ったんだろ。リョウくんの優しさが胸が痛い。


迷ったけど。


結局、リョウくんの自転車に乗ってしまった。


「今日のお詫びに何か作るよ。お菓子で好きなもの何?」

「コーヒーゼリー」


………………………。


「お前、イヤミか? イヤミだろ?」

「ぷっ……別に」


アイスコーヒーをかぶって、本気でコーヒーゼリーを食べたくなったのは事実なんだけどな。