「で、できたぁ!」
リョウくんに手伝ってもらったから、綺麗なムースが完成した。リョウくんは腕時計を見る。
「22時か……彼氏に連絡して迎えに来てもらえば?」
「ううん。黙って行って、ビックリさせる!」
「サプライズかよ。ま、めちゃくちゃ喜ぶだろうな」
うん。和人、泣いちゃうかな。私は確実に泣くけど。
「もう遅いから、彼氏んちまで送るよ」
戸締まりをして、自転車の鍵を開けながら言ってくるリョウくんに、慌てて首を横に振った。
「ここまでしてもらったのに、これ以上は……」
「ここまでしたんだから、最後までさせろよ。ていうか、もちろんタダじゃないし?」
「へ?」
「俺、明日から一週間トイレの掃除当番なんだよ。変わってくれね?」
リョウくんはニヤリと笑って、私の手を掴んで自転車の後ろに乗せた。ああ、リョウくんって本当に……。
「全っ然、いいよ!! トイレ掃除大好きー!!」
いい人すぎる。私に気を遣わせないように言ってくれたこと、分かってる。
感謝の気持ちでいっぱい。私はリョウくんの自転車で、和人のマンションへと向かった。


