「俺も黙ってるかな。ずるいと思うけど、やっぱ自分のためにも彼女のためにも黙ってるのが一番いいと思う」
「ええ!? そうかな」
私はきちんと話してくれたら、ここまで怒らなかったと思うけど。
「美山もきっと正直に話してくれていても、知らないほうがよかったってキレてるよ」
「え?」
「どっちみち許せないんだろ。嘘つく、つかないの前に、その行動事態にキレてるんだから」
……確かに。リョウくんに言われて初めて気付いた。
私……和人が正直に話してくれていても、すぐには許せなかったかも。
怒る理由を、自分で見つけてたのかな。
「寝ぼけてキスしちゃったって話、信じてあげてもいいんじゃねーの? 俺から見ても、美山の彼氏は絶対に裏切るようなことはしねーと思う」
「……うん、信じる」
あんなに想われて、優しくされてたんだから。どんな状況でも、和人は絶対に私を裏切るようなことはしない。
寝ぼけて間違えちゃったことはショックだけど、完璧な裏切りじゃない。
分かっていたのに、人の感情って怖い。自分の気持ちまでコントロールできなくなるんだもん。


