「今日、作って明日会いに行く。仲直りして、二人で食べる」
「……いいけど。あれ時間かかるし、難しいよ」
「頑張る!」
失敗しても、できるまで頑張って作るもん。バレンタインの時のチョコみたいに。
「仕方ねぇな。後ろ乗れよ」
「え?」
「店、終わるころだから厨房借りて作るぞ。俺も手伝うから、今日中に会いに行けよ」
「で、でもリョウくんに付き合ってもらうなんて、悪いよ……」
「一秒でも早く彼氏に会いたいだろ?」
うん……会いたい。会いたくて仕方ない。
「ありがとう」
リョウくんの自転車に乗って、二人で材料の買い出しに行った。
そしてカフェに到着。店長の中井さんにお願いして、鍵を借りて、厨房を使わせてもらえることになった。リョウくんに指導してもらいながら、一緒に作り始める。
「まず、氷出して。生クリーム泡立てるぞ」
「はい!」
生クリームをハンドミキサーで混ぜながら、ずっと頭の中で考えていたことを聞いた。
「あのさ、リョウくんが和人だったらどうしてた?」
「俺だったら?」
なんとなく、男の子の意見が聞いてみたかった。


