「きちんと仲直りするんだよ。落ち着いたら、電話ちょうだいね!」
真央をバス停まで送って、手をふって別れた。リョウくんは手で押していた自転車に跨がる。
「彼氏んちまで送ろうか?」
「ううん、一人で行けるから大丈夫。ありがとう」
どうしよう。もう遅いし、連絡してから和人のうちに行ったほうがいいかな。私が悩んでいると、リョウくんが思いだしたかのように話し出す。
「今度さ、この間のムースのレシピ教えてやるよ。彼氏に作ってあげたかったんだろ?」
「……うん、よく分かったね」
「そりゃ、あんだけノロケられたらな」
あのムース、本当に美味しかったんだよね。和人と二人で食べたら、幸せに感じるだろうなって思った。
「じゃあ、気を付けてな」
「待って!」
ペダルに足をかけて、立ち去ろうとしたリョウくんの腕を慌てて掴んだ。
「危ねーだろ! なんだよ?」
「お願い! 今教えて!!」
「は?」
和人に散々ひどいこと言って、たくさん傷つけてしまったし。傷つけられたけど、私のほうがきっとキツいこと言ったと思うからお詫びに作ってあげたい。


