「……なんで……嘘つくの?」
「サクラには知られたくなかったから。サクラが傷つかないですむなら……」
「そんなの私のためじゃないよ! 自分のためじゃん! 二度も嘘つかれたらもう信用できない!!」
バックを手に持って玄関に向かう私を、和人は手を掴んで引き寄せる。
「ごめん! 本当にもう嘘はないから信じて」
「やだ! もう別れる!」
ちゃんと……最初から言ってくれたら信じたのに……。
止まらない涙。
腕を振り払っては、強く握られて、それでも抵抗していたら壁に体を押しつけられてそのまま床に倒された。
「離してっ!」
「お願いだから、落ち着いて話を聞いて!」
「言い訳なんて聞きたくない! 別れる!」
「別れない!」
「別れるっ……」
床の上でバタバタと抵抗する私。和人は両手首を掴んで、強引に私の唇を塞いだ。
無理やりのキス。
嬉しくない。
幸せも感じない。
初めて和人からのキスを拒否る。顔を背けて、抵抗したけど、顎を掴まれてされるがままだった。


