「今年の夏休みはバイトしようと思ってるんだ」

「なんで?」

「真央達と卒業旅行に行く約束してるから。和人とも行きたいな」

「いいよ。どこにでも連れて行く。その前に、サクラの家に行って、挨拶しなくちゃね」


暖かなカフェの中。運ばれてきたキャラメルマキアートのカップを両手で包みながら口を開く。


「婚約して、入籍して、結婚して。私も2〜3年働いてから……」


そんな順次よく、いかないかもしれないけどさ……。


「赤ちゃんを迎え入れよ? スノーと4人でいつか暮らそうね」


どうせなら、赤ちゃんが授かった瞬間は。


“どうしよう”じゃなくて、“やったぁぁ!”って、二人で喜びたい。


堂々と親にも報告できて、みんなから祝福してもらえるような状況で迎えたい。


そんな赤ちゃんの迎え入れ方ができたら、サイコーに幸せだよね。


もし、私が藍ちゃんの立場だったら……。



悩んで悩んで、出した答えは“産むこと”だった。また綺麗事で甘いって、言われるかもしれないけど。


私は遅かれ早かれ、和人と結婚して赤ちゃんを産みたい。


いつかは和人とスノーと赤ちゃんと……私の四人で暮らしたい。そう思った時に見えた答えって、産むことだった。