「からかってごめん。
しばらくこのまましてて……」
いつになく真面目な顔でそう言うと、大きな手であたしの手をすっぽりと包み込む。
だからまたあたしは「……うん」ってうなずくしかなくて。
こんな甘いセリフ、きっと誰にでも言ってる。
わかってるのに、手を振り解けない。
やっぱり調子くるう……。
そのとき、突然、中庭に大きな歓声が響き渡った。
どうやら今年のミスコン優勝者が決まったようだ。
ここにいる誰もがミスコン会場の方に気を取られていた。
きっと誰も気づいていない。
こっそりと握り合っているあたしの右手と
深町京悟の左手に。


