「北瀬川先生なら用事があって、今日はお昼から出勤されるそうよ」
北瀬川先生の隣の席に座る先生が、にっこり微笑んでそう言った。
結局あたし達はまた行くあてもなく廊下をトボトボと歩く。
「なんだよ、北瀬川ぁー。
昼から出勤とかどんだけ偉いのアイツ。
社長ですかぁ?」
ブツブツ文句を言う深町京悟の言葉にあたしはふきだして笑った。
「あはは。
北瀬川先生、担任持ってないしねー。
文化祭なんて、特にやることないんじゃない?
でもさぁ……。
先生が来るまで動けないよね。
花のタトゥーは手に入れたけど、どう使えばいいんだろう……。
ヒント③もよくわかんないし。森なんて、このあたりにないしさ」
「んー……だよなぁ」
どうしようかと考えあぐねていた時、
中庭で大きな歓声が湧き上がり、
それはあたし達のいる廊下にまで響いてきた。