「何?」
「桃ちゃんがオレのこと嫌ってるのって、やっぱアレのせいなの?」
「えっ……」
深町京悟のいう“アレ”というのは、きっと例のクッキー事件のことだろう。
「まぁ、たしかにオレが悪いんだけどさ。
それにしても、すげー露骨に嫌われてるな……って思ってさ。
いっつもゴミでも見るかのように、怖い顔で睨んでくるし」
改めてそう聞かれると、言葉につまってしまう。
だって、別に深町京悟は直接あたしに何かしてきたわけではない。
いつまでもあの件を引きずっているのは、むしろあたしの側に原因がある。
だけど、そのことについて、まだ語る気にはなれなかった。


