その人は軽く手をあげて、あたし達のそばまでやってきた。
３年の桂木(ｶﾂﾗｷﾞ)さんだ。
学年は違うけれど、あたしも顔と名前は知ってる。
学校一の美少女で、噂では芸能事務所に所属していて、卒業したら本格的に活動をはじめるとか。
はじめて間近でみたけど。
なんていうか、一般人とはオーラが違うって感じ。
いったいどんな手入れをしたらそんなきれいな髪になるんだろうって思うような
サラサラの黒髪を揺らして、桂木さんが笑う。
「聞いたよー。罰ゲームうけてるんでしょ？」
「うん。ま、ね。つーか、笑いすぎ」
先輩であるはずの桂木さんに、タメ口で返す深町京悟。
おまけに肩で彼女を小突いたりしてる。
ただならぬ仲って感じの雰囲気。
