とはいえ、いじめるのはこれぐらいにしておくか。
「はぁ……しょうがないか」
オレはポケットの中から針金を取り出す。
「へ?」
とキョトンとする桃ちゃん。
ぷっ……まだ涙目だし。
「ちょっと、じっとしてろよ?
今、開けるから」
針金を差し込んで、カチカチと動かす。
ものの数秒で、カチンと鍵が開いた。
「は? はあああああ?」
まじまじと手首を見つめる彼女。
「なんで?
ひょっとして、手錠はずせたの?
それさえ使えば、すぐにはずせたんじゃないの?」
「うん。
だって、こんなのおもちゃの手錠じゃん。
見た瞬間思ったよ、楽勝だなって」
「はああああ?
じゃ、開けられないっていうのは、ウソだったの?
なんでウソなんかついてたの?」
「なんでって……。
さぁ……なんでかな?」


