「いやもう、これ、個室同伴しかないっしょ。
大丈夫だって。
目、つぶっとくし。耳はこれで……」



イヤホンをせっせと耳にスタンバイ。



あたしは想像する……。



女子トイレの個室に彼とふたりで入る図を……。



なんの拷問よ!




いや、笑い事じゃないから、これ。



青ざめるあたしをよそに。



人の気持ちなんて、まるでおかまいなし。


どこまでもマイペースな彼は……


ポンとあたしの肩を叩き、耳元で囁く。




「いやいや、愛があれば、何でも乗り越えられるって、桃ちゃん」



「無理無理無理」

とあたしは首を横に振る。



「例え愛があってもトイレ同伴は断る!
てか、それ何のプレイよ!
いやだああああああ!」



あたしの大絶叫は廊下の端まで響いていたらしい。


やっぱりこれは喜劇ではなく悲劇なんだ。




でも……とりあえず



この物語はこれで……終わるらしいです。



Happy End……?