「深町は、チェシャ猫のあの言葉、どう解釈する?」
何のことだよ?
そんな感じで、すこし迷惑そうな顔してゆっくりとこちらを振り返る。
「さぁ……」
「あれはね。
どっちでもいいなんて、曖昧な意思しか持てないなら、どの道に進んでも同じ。
逆に自分の行きたい方、やりたいことが決まってるなら、そっちに進むべきだ……って、背中を押してくれる言葉だと――あたしはそう解釈してる」
「……」
「あたし達はいつだって迷路の中にいて迷ってるの。
右か左か……選択すべき道は別れてて、出口なんて簡単には見つからないし、ひょっとしたらまた同じ場所に戻ってくるかもしれない。
だけど、その時、自分で考えた道は遠回りであったとしても、間違いじゃないと思う。
……2年前の深町の選択は間違ってないよ」
「桃ちゃん……それでも、オレは……」
「間違ってない!
間違ってないの!
深町は悪くないよ……」
タンッと足音を響かせて、あたしは彼に駆け寄る。


