彼の姿を探しながら廊下を走り続ける。
居そうな場所を片っ端から覗いてみる。
4階……3階……2階……
やがて1階まで降りたとき、ようやくあたしの足は止まった。
というか、一瞬呼吸をすることすら忘れそうだった。
そのあたりは空き教室が並んでいるせいか、生徒は誰もいなくて。
その静かな廊下の向こうから深町京悟が歩いてくる。
自分で探してたくせに、いざその姿を見つけると途端に決意が揺らぐ。
心臓が暴れだす。
なんて声をかけたらいい?
今朝みたいに……無視されたらどうしよう。
そんなことされたら……あたし、今度こそ立ち直れなくなりそう。