「なんか、ちょっとだけ、もめてたみたいだけどね。
彼女はまだ一緒にいたかったみたいだけど……。
深町がそれを振りきって、ひとりで行っちゃったの」



「そうなんだ……」



なんだかホッとしていた。


彼がひとりでいるなら、話がしやすいから。



そしてあたしは「ごめんっ」ともう一度手を合わせる。



「お願いっ、晴香!
今ちょっと……あたしココを手伝えないんだ。
悪いけど……受付ひとりでやっててもらえる?
お願いっ、見逃して!」



「もーしょうがないなぁ」



呆れながらも優しい声で晴香が言う。



「その代わり、今度なんかおごってよねー」



「ありがと!
助かる!」



もう一度晴香にお礼を言って、あたしはまた足を動かす。