「桃はわかりやすいな」
「な、何がよ?」
「なんか悩んでるんだろ?
まるで『あたし悩んでます!』って書いて顔に貼り付けてるみたいだ」
「ええっ」
思わず片手で頬をペタペタと触っていると、瞬ちゃんは「あはは。図星!」と豪快に笑った。
「もー!
カマかけるなんてひどいよ!
瞬ちゃんて悪趣味だよ」
ごめんごめん、と謝りながら、瞬ちゃんはあたしの目の前に立つ。
そしてしゃがみこんで顔を覗き込んでくる。
「カマなんてかけてないよ。
子どもの頃からずっと見てるんだから。
桃が落ち込んでることぐらい顔を見ればわかる」