「じゃさ。あの子、知ってるかな……」 そう言うと、内緒話でもするかのように、彼は晴香に何かを耳打ちする。 ふんふんとうなずいていた晴香は、「ああ」と声をあげ。 「たしか、3組だよ」と言った。 「おお。さすが! ありがと」 軽く手をあげて歩き出そうとした深町京悟を晴香は呼び止める。 「何よー。その子に何の用事?」 「ハハ、内緒」 振り返ってそれだけ言うと、彼は去っていった。