「だから。違うってば! ホントにないから! そういうの!」 いつの間にか駆け足になっていた。 バタバタと、ふたりして廊下を走る。 だけど、角を曲がった瞬間、ドンッて何かにぶつかった。 「きゃぁあ」 「あっ、悪ぃ」 目の前にあったのは、男の子の胸。 顔を見なくてもわかる。 この声、この香りは……。