『何もできなかった』 というのは、昨日あたしが視聴覚室で泣きながら言った言葉だ。 あれは深町京悟の過去や彼の心の中にあるものを知ったけれど、自分にできることなんてなにもなかった……って、意味なんだけど。 もちろんそんなこと説明できるわけもなく。 晴香はすっかり誤解しちゃってる。 「もーやめてよね。 だから、そういうんじゃないってば」 歩き出したあたしを追いかけながら聞いてくる。 「ふーん。 じゃ、本当に何もなかったんだ。ずっと手錠でつながれてても?」