「ねぇ! 待って!」
あたしは両手で彼の手をギュっと握り締める。
それに気づき、深町京悟も走ることをやめた。
「……なんで?」
背中に向かってそう声をかけると、深町京悟はゆっくりと振り返った。
逆光のせいで、その表情はよく見えなかった。
だけど、なぜかあたしの胸はチクリと痛む。
ひょっとして、聞いちゃいけないことだったのかな……って、そんな気がしたから。
これ以上、彼の心の中に踏み込んじゃいけないような感覚。
誰だって触れてほしくない部分ってある。
今あたしはそこに踏み込もうとしているのかな……。


