「うん……ちょっと例えが違うかもしれないけどさ。
監禁された人質がさ、犯人と一緒に行動しているうちに情がわく……みたいな話聞いたことあるんだけど。
オレ、そんなことあるかよ、ってずっと思ってた。
けど、案外そういうこともあるのかもな……ってなんとなく、今思った」
そう言いながら、深町京悟はじっとあたしを見つめる。
監禁……だなんて物騒な言葉は不似合いだけれど。
誰も寄りつかない図書室にふたりっきりでいるこの状況を嫌でも意識してしまう。
どこからともなく、かすかに響く文化祭のざわめき。
それが余計に、ここだけが特別な空間なのだと感じさせて。
さっき深町が言っていたみたいに、まさに外界から遮断されているみたいな気分になる。
カーテン越しのやわらかな光が彼の髪や瞳をさらに茶色く見せて……。
キレイだな……って素直にそう思った。


