「怖いの?」 深町京悟がクッと片方の口角を上げて笑う。 「やめて!」 あたしは腕を振り解こうともがく。 「それ以上近づいたら、声出すから」 「ムダだよ」 いつの間にか、深町京悟の顔が至近距離にあって、耳元で囁かれた。 「文化祭の最中に、こんなとこにやってくるヤツなんていないって」 図書室は校舎の端にある。 たしかにこんな日に図書室に用がある生徒なんていないのか、さっきから足音ひとつしない。