立ち上がり、ドアノブをまわすと、深町京悟はそのままスッと扉を開けた。
とたんに屋上から吹きこむ強い風に前髪があおられ、あたしは目を細めた。
「え? どういうこと?
今、深町が開けたんでしょ?」
「いや……最初から、開いてた」
「そうなの?
誰かが、閉め忘れてたのかな?」
「そうかもね」
そう言って深町京悟が歩き出したから、あたしも後をついていく。
今日に限っていえば、
鍵が開いているのは、別に驚くようなことではない。
屋上からは、各クラスの出し物を宣伝する幕なんかが垂れ下がっているし。
その準備とかで使用した生徒が、閉め忘れたんだと思う。


