俺の肩にもたれていたエリが顔を上げ、不安げな表情で俺を見つめる。
少し潤みかけているその瞳は、俺を捕らえて離さない。
思わず小刻みに目が泳ぐ。
反らしていいものか、一点を見つめてよいものなのか。
「それ………どういうコト………?」
「あ………いや…なんつーか…チーフになったからか、エリ、ここんとこ随分仕事熱心だから………そんなに根詰めなくてもいいんじゃないかって………」
店のチーフになったこと
雑誌のこと
モンゴルでのヘアーショーのこと
どんどん、俺から遠くなっていく
勝手に思いこんで
離れていきそうなエリを身勝手に繋ぎ止めたくて
でも、そんな彼女に嫉妬してる
思いが、言葉という形になって表れてしまった
「………アタシ自身、よくわかんない………どうなりたいかって……」
相変わらずその瞳は俺を離さずにいたが、ピンクベージュのグロスの唇が、小刻みに震えていた。



