「んなもん、エリなら大丈夫だ………」
「シン………」
肩を寄せたまま、エリの髪をゆっくりと撫でる。
何も言わず、ただ黙って。
撫でながら、考えてた。
―――――初めて出逢った6年前。
あの頃は、美容師目指して働き始めたばかりの19歳のエリ。
覚えたての手付きで、懸命にシャンプーしたり。
緊張が、髪の先から伝わってくる程。
それが、いつの間にかお客からの指名ナンバーワンになり、有名誌に取り上げられて。
しまいには、海外研修兼ねたショーの手伝いか………。
それに較べて俺は、中小企業診断士になるのに何年かけてる?
診断士の資格を取る卒業まで、まだ4ヶ月残ってるってのに………。
エリに追い越され、どんどん差をつけられている気がする。
撫でながら、俺はエリに嫉妬してた。



