荷物を持っていない空いた右手で、エリの左手を繋ぎ、勾当台公園へと歩く。
相変わらず、しゃっこい手ぇして………。
「ほらっ………」
俺は、エリの冷えた手を、着ているハーフコートのポケットの中に入れた。
指を絡め、しっかりと握り締める。
「シン………」
俺の右に、寄り添うエリ。
ポケットの中の温度はゆっくりと上昇し、気持ちを昂ぶらせていく。
愛しい女性(ひと)―――――
気持ちが満たされていく。
抱きたい。
早く、エリを抱きたい。
今夜は、水嶋の家に帰らないで、エリと朝まで過ごしたい。
タクシーを見つけると、俺は荷物を下ろし、手を挙げる。
運転手もそれに気づき、ハザードランプを点けて路肩に寄せてきた。
扉が開いたと同時に、エリを先に乗せ、自分も後に次いで乗り込む。
タクシーは右にウィンカーを上げ、合流しようとサイドミラーと後方を確認している。
金曜の夜だけあってなかなか合流できず、“ったく…”と、舌打ちしながら呟くタクシードライバー。
少々苛立っているようだ。



