俺と結可子。
大学校で再会したものの、お互いフツーに【同期生】として接している。
俺と結可子が昔恋人同士だった事。
同期生は、まだ誰も知らない。
偶然にも、ゼミも一緒。
授業後の飲み会もよく一緒になるけど、特段何もない。
結可子は、俺と付き合う前の時と同じく。
勝ち気な態度たっぷりに接してくる。
それはそれでヘンに意識されるよりずっと嬉しいんだけど、俺の方が戸惑っちゃって。
………そう考えると、女はサバザハしてて潔いよすぎ。
“………真一………ゴメンね………こんな形で別れたくなんかなかった………でも、こうするしか出来なかった………ゴメンね………大好きだよ………忘れないよ……一緒に過ごしたこと………真一………しんい…ちぃ……………”
結可子との別れたあの日の事が、蘇る。
“忘れないよ………一緒に過ごしたこと”
そう言ってたくせにアイツ、俺と一緒に過ごした時の話、全然俺にしねぇでやんの。
ヘンに未練たらしく、過去の栄光というか、昔の淡い思い出を、後生大事に抱え込んでいるのは男の俺の方、なんだな。
結可子の事………。
まだ、エリにも話していない。
ま、いっか。
話さなくても。
どうせ、俺の同期生と会うこともないだろうし。
言わなきゃわかんねぇよな。
「……………シン?どしたの?疲れちゃった?」
あ………。
「ゴメン。来週試験だから、そっちの事に意識が飛んでた」
「そっか………」
「………エリ、そろそろ出るか」
「ん………」
俺たちは喧噪の国分町の飲屋街を、後にした。



