「………俺、お前とよりを戻すつもり、ないから………」
「……………」
効いたか、な?
抱きついたまま、黙りこくってる。
でも、その手を離さない。
「俺………大学校卒業したら、結婚する。もう、婚約も済ませた……だからお前とは―――――」
「水嶋ぁ~!!ゲロ吐き終わったかぁ~?」
カツカツと靴を鳴らしながら、どんちゃん騒ぎでも通るデカい声を発して、同期生の一人がトイレに近づいてくる。
結可子も俺も、その声が聞こえた途端、お互いに身を離した。
バタン―――――!!
「水嶋ぁ~とんそ………あれ………?加東さんもいたんだぁ~?加東さんも、もしかして、コレ?」
トイレに赤ら顔で入ってきた同期生の柳橋(やぎはし)は、そう言って右手を、胸から口元へ上げる、所謂(いわゆる)“戻す”ジェスチャーをした。
「そ。この水嶋さんの顔にね」
「な……………」
結可子が困った顔して、俺の顔を指差す。
思わず、絶句。
何だよ!!
さっきまで抱きついてたくせに―――――



