「あー、そうそう。加東結可子さん!!はいはいはいはい。思い出しました、思い出しました」


モヤモヤしてた記憶がスッキリしたせいか、シゲさんの表情もスッキリとしている。


「10年ぐらい前、埼玉で経営セミナーをやったときの受講生としていたのが彼女だったんですよね………。勤務先の上司と二人でいらっしゃっていたのですが、彼女、バイタリティ溢れてて。セミナーも、真剣に取り組んでいましたよ………かなりインパクトの強い女性でしたね、加東さんは」

加東結可子を絶賛するシゲさんを他所に、俺はグラスを傾け、氷を弄んだ後、琥珀を喉に流した。


――――――加東…結可子………か。




「水嶋から、加東さんと中小企業大学校で同期、しかも水嶋とゼミが一緒と聞いて驚きました。懐かしかったですね………あんなにインパクトある女性だったのに、さっきは名前だけ思い出せなかった………残念っ」


シゲさんが、肩を落とすジェスチャーをして、ガッカリした気持ちを現す。


まさかシゲさんが、彼女に逢ったことがあったなんて。



かなり、驚いた。