「衣理さん」
「…は、ハイ!」
涙声のお母さんに気を取られ、返事がワンテンポ遅れちゃった。
お母さんが泣いてるトコなんて、韓国ドラマ観たトキぐらい。
アタシのコトで泣いたなんて、今まで一度もないんじゃないかな?
その見慣れない母親の横顔に、つい、戸惑ってしまった。
「―――――子供同様の真一を、宜しくお願いしますね」
お母さんの涙を見たからか、シンのおかーさんのコトバを他所(よそ)に、急に不安になってきた。
―――――アタシが水嶋家に嫁いだら、依生や実緒の高校の学費、どうするんだろ?
もし二人とも大学行きたがったら?
ミネばあちゃんは年金生活、お父さんとお母さんの働きだけで足りるのかな?
アタシが今まで、給料の半分ちょっとを家に入れていたから、生活が大変になるのに。
今後の生活のコトで、幾度となく重ねた家族会議。
シンも間に入ってもらったコトもあった。
その度にお母さんは、
「お金の心配は要らない。真ちゃん、水嶋家にもお金の事で迷惑かけないようにするから二人とも心配しないで」
そうアタシとシンに諭してた。
―――――よく考えたら、アタシ。
自分勝手に話を進めちゃったんじやないかな?
“シンが好き”
お互いが好きってキモチはもちろん、一番大切なコトだけど。
それだけでホントにいいのかな?
結婚―――――
ホントは、アタシにはまだ早過ぎなのかな?



