ページェント・イブ ~エリー My Love~【長編】





「―――――それにしても、イマドキ珍しいんじゃない?婚約指輪が要らないなんて」


結納後。
両家揃っての食事会でのコト。


黙々と会席料理に箸を進める微かな音だけが響く和室。
会話を切り出したのは、シンのおかーさんだった。


「あ、そうだねー。フツー欲しがらない?………衣理ちゃん、もしかして………倹約してるとか?」


シンとは年子の妹で、この日の為にイタリアから帰仙してきた、さつきさんが首を傾げながら訊く。

「ごめんなさいね………このコ、少し変わってるから………」
「お母さんっ?!」


アタシの腕を軽く肘で突いてくるお母さん。

んもぉ~!思わず声が大きくなっちゃったよ。恥ずっ!!


「………コホンッ………スミマセン」

直ぐさま、咳ばらいして誤魔化すようにみんなに謝った。


シンのおかーさんは箸を丁寧に下ろし、アタシをチラッと一目した後で、お母さんに微笑みかける。


さすがはマナー講師。
おかーさんの動き全てが模範。

アタシたち家族の食べ方とか、どんな風に写ったコトか。
恥ずかしくて恥ずかしくて。

いっそ、注意された方がなんぼかラク。


「お母様。衣理さんはまだお若いのに、とってもしっかりされてらっしゃいます」


アタシは思わず、箸をほろって(※落とすの方言)しまった―――――