「―――――しっかし焦ったよ」
「アタシだって………『ああっ、もうダメかも』って思った………心臓バクバクして、頭ン中真っ白だったんだから」
「俺の名演技、よかったろ?」
「………よかっていうか、リアルすぎ。フラッシュバックしちゃったよ………シンと待ち合わせしてたクリスマスイブのコト………」
「あ~ゴメンゴメンっ!………でも、あーでもしないと、水嶋さんのお袋さんに俺と衣理の事、誤解されるだろ?」
「………そだね。アリガト………」
―――――アタシは今、ブルーのレガシィ・ツーリングワゴンの助手席に身を任せている。
隣には、灯ろう流しの帰り道、シンのおかーさんに遭遇したアタシに悪たれついて消えていったはずのノブ。
実は、アタシを突き飛ばす直前――――
耳元でノブは、
「河原町(そこ)の駅で待ってろ。後でまた戻る」
そう囁いた。
アタシも鈍いもんで、悪ぶった態度は、彼が咄嗟にした“お芝居”だと気付いたのはそのトキで。
あんまりにもウマすぎて、リアルに怖かったんだから………。
シンのおかーさん、疑っていないよね?
信じるしかない………。
てか、疑わないでぇ~っ!!
「水嶋さんはお袋さん似なんだな。似てなかったら気付かなかったし、あんなコト出来なかったよ」
「そうだね……シンはおかーさん似だね。それにしてもスゴイ判断力………」
ホント、感心してしまう。
「………ノブって、ホントはスゴイんだね………」
「スゴイ?」
運転しながらも、チラッと助手席へ視界を移した後、含み笑いをする。
「クックッ……アハハハハっ!!今頃気付いたの?………って、俺も実はそーゆー自分に気付かなかったんだけどね………」
それを引き出してくれたのが、言わなくても解る………。
茉莉子さんなんだ―――――



