ゆっくり振り返った視界の先には、藍色の浴衣姿の女性―――――
「……………おか……さ…ん………」
時間が、凍りついた。
そんな感じ。
“時が止まった”と言うより、“凍りついた”
そのコトバが、当て嵌まる―――――
「………衣理さん………真一と一緒じゃないの………?」
開口一番は、セオリー通り。
瞬時に思っていたコトと一致した。
だって今夜は、シンと一緒にココにいるハズだったのに。
一緒にいる相手は、シンではない、違う男性(おとこ)―――――
「あのっ………おかーさん………」
きっとおかーさん、誤解してる………。
だって、シンと一緒にいるハズのアタシの隣には………。
アタシがこの現状をどう話そうか。
正直に“高校時代の友人”と言うべきか………。
どっちにしても、このシチュエーションでは、おかーさんがアタシに不信感を抱いているのはほぼ間違いない。
どうしよう………。
どうしよう。
どうしよう。
どうしよう。
「あの……えっと………」
パニくるアタシが次の句を言おうか、頭にあるだけのボキャブラリをかき集めるが、出て来ないし。
ああっ!焦るばっか。
マジでどうしよう………。
「―――――オバサン、この娘(コ)のツレ?」
「えっ?」
「なーんだ。コイツ、一人で来たとか言うから俺、お持ち帰りしようと思ったのに、親同伴かよ~。うわっ、サイアク」
え?
ノブ?
ノブの態度が急変。
さっきまでの笑顔が消えた………。
ちょっ………ちょっと待ってよっ!
アタシは、何がなんだかわかんなくなった。
ノブ………?
どーいうコト………?



