ページェント・イブ ~エリー My Love~【長編】



ぷにぷにと、アタシの頬を上げて玩(もてあそ)ぶノブ。
こらこら………。


アタシ。
ノブのキモチ。
わかんない、わかんないよ………。


「ほら、衣理。表情固てぇって………」


抓ってた手をゆっくり離し、三日月のように笑顔で細めた目は、アタシをまた、真剣な眼差しで見詰め直すノブ。


「―――――幸せに、なれよ………」

その瞬間―――――


―――――ド……………ン!!


わぁっ…という歓声と共に、夜空に一輪の大きな花火が打ち上がる。


ノブの次の句を遮るように、次から次へと大きな音を上げる。
仙台の夜空に、大輪の花が咲き乱れる。

アタシも、ノブも、空を仰ぎ、二人して同じ花火を見ていた。


―――――思えば、ノブと付き合っていたトキは、“いつ、彼に棄てられるンだろう”ってキモチでいっぱいだった。


好きになって、告白して、付き合って。
時にはデートしたり、キスしたり………エッチしたり。
でも、最後は他の女に鞍替えされて終わり。

雑誌みたいな、マンガみたいな恋に憧れて。
自分もその中のヒロインみたいになりたくて。
一生懸命、ノブの好みに合わせようと背伸びしてた。

彼と付き合っていた頃のアタシは、恋してる自分に“恋”してたのかもしれない。

そりゃあ棄てられて当然だよね………。


そんなコトを考えながら、漆黒の空を彩る花火を見上げていた。


「キレイだな………」

「ん………」

微かにお互いの声を聞き取り、言葉を交わす。

ノブには、この花火がどんな風に映っているんだろう………。
アタシは、シンのコトじゃなく、隣にいるノブのコトを、考えているんだよ。

何でだろう?
正夢といい、偶然の再会といい。
そして、この胸を締め付けるような軽い痛みと胸騒ぎ。


シンがココにいなくてよかった………。

もし、ココに彼がいたら―――――




アタシが今、ノブに手を繋がれているコトを知ったら―――――