ページェント・イブ ~エリー My Love~【長編】



「―――――ホントは、彼氏と来るはずだった………とか?」

ドキッと、心臓が跳ねた。

「あー。その表情は図星だな………」

アタシを指差して、アハハッと歯を見せて笑うノブ。
アタシってすぐ顔に出ちゃうみたい。

笑ったかと思ったノブの表情が、一気に曇る。


「この間……仙台駅で偶然衣理と逢ったろ?………久し振りに話した時から、俺、気になってたんだけど………」

「―――――アタシ………プロポーズされたの」

「えっ―――――?」


二人、目が合って………お互い見詰め合っていた。
ノブは、驚いているような、“やっぱり”といったような、曖昧かつ微妙な表情をアタシに見せる。

そんな表情(かお)しないでよ………。


「………プロポーズって………水嶋さん………?」

アタシは、こくんと静かに縦に首を振った。

次の瞬間、アタシの両肩を痛い程強く掴んで―――――


「衣理、よかったじゃん!!おめでとう!!!」


さっきの曇った表情から一転、満面の笑みをアタシにくれた。

まるで、真夏の太陽のような、眩しい笑顔―――――

素直に………喜んでくれるの………?
何かちょっと………意外。


「俺さ、すんげー気になってたんだよ!」

興奮気味に話し始めるノブ。
アタシは思わず………キョトン。


「話途中で俺、学年主任からの呼び出しで帰ったろ?」

「ん…」

「衣理の事、あれからずっと気になってたんだよ………俺のケータイ番号入れてったけどかかって来ないし………」

「あ………」

あの時、去り際にノブのケータイ番号入れられたものの、アタシはかける勇気もなくそのままでいた。

かけたかったけど、心の何処かでシンに対すれ後ろめたさがあったから………。


「………ま、突然逢いたくないヤツに遭遇して、ヘンな話聞かされて、ケータイ番号入れられて………。ましてや婚約者いる身だもんな。電話なんかかかってくる訳ないってな」

アハッと、ノブが一笑。


でも、今のコトバ。
どういう意味―――――?